幽遊白書のはなし
最近買ったものはこれです。
- 作者: 冨樫義博
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1番好きなアニメ(漫画)は何か?と聞かれればこれになってしまう。
いまの大人の目で見て、面白いのは序盤と暗黒武術会後半
(原作10巻後半。トグロと幻海とのやりとり)以降だと思う。
なので今回はその巻をとりあげてみました。
話のなかでで1番好きなのは、
幽助が一度死んで魔界に行くところあたりも好きなんだけれど
やっぱり幻海VSトグロかな。
力を追い求め、それを維持するために、人であることを捨て、時間と戦うことから逃げ、不老不死となったトグロ(いつまでも子供であり続けようとする。道を間違った主人公の未来の姿でもある)と、
かつては強く美しかったが、人として老い、流れに身を任せた幻海との戦い。
いつまでも子供のままでいてしまうこと、老いや死を拒絶すること、
そしてそこから逃げずに「時間と戦うこと」は
この作者にとって一貫したテーマになりうると思うんだけど、
最近は(結婚して、幸せになってからなのか)
「じじいになっても子供のままでいてやるぜ!」というオーラが漂ってきたので、
もっと悩んでほしいです。
完全版は大していい特典がない
(肝心の書きおろし巻頭カラーが手抜き!)
通常版の方がカバーの作者の言葉やおまけページがあり、
表紙や巻頭の絵にやる気とこだわりが感じられるのでいいと思います。
絵は現在の方が(本気出せば)上手いですが、手抜きが多いしな…。
あと「完全版」と名付けるくらいなら、語ることを放棄した物語もなんとかしてほしかったです。
幽助は、あの、ジャンプの歪んだ、延々と戦いつづけなければいけないシステムから生まれた
戦うこと自体を目的とした、人食いの「闘神」として、システム自体を破壊してほしかった。
物語ることを壊すくらいなら。
スザク(通常版4巻。なに編だか忘れた)のあたりから、
ジャンプ恒例のバトル路線への変更がとられ、出てくる登場人物は類型的になり、
バトルも特にこのあたり(とくに10巻後半まで)は悪い意味で現在よりゲーム的、
かつご都合主義で、なんだかよくわからん理由で敵がぶっとばされ、
頭脳戦、ゲームのシステムとして完成しているハンターとはかなりの差がある。
(この人の漫画はゲーム漫画だと思う。
短所をあげるなら
漫画内で描かれる世界の危機、戦い、死が、現実のそれと遊離している。
最近の漫画はほとんどそうなんだけれど)
この作品はハンター×ハンターのプロトタイプとも言える。
ハンターの念のシステムは、幽遊白書の、
霊能力(ハンターでいうオーラの攻防力移動・流など)や
妖力(イメージ具現化)を描いているうちに生まれてきたのではないか。
幽遊白書で描いた断片的なアイデアに深みを加えて一貫性を持たせたものだと思う。
(ハンターの念のシステムになぞらえるなら、
幽助がやや強化系よりの放出系、トグロがより純粋な強化系?
桑原が変化系で、蔵馬が植物の武器化ということで操作系なのだろーか)
幽遊白書のキャラクターは、作者が若い時代(25歳)に描いただけあって、とくに主人公が、より近い存在として感情移入して描かれている。
※ハンター×ハンターの主人公は年齢が12歳であり、息子、1世代隔てた存在として描いている
(そしてハンター×ハンターの主人公の父親は幽遊白書の主人公に似ている)
いつまでも子供でいたいと思う願望と。
(少年の夢に自己を仮託したいという少女の願望と)
いつまでもここにいたいと思わせる、不思議なまんがです。