ガンガンの思い出

上の画像は天野こずえの「クレセントノイズ」5巻
天野こずえの絵柄は浪漫倶楽部後期〜クレセントノイズ初期の頃が好きだったんだけれど
アマゾンや楽天には無かった…。


天野こずえ押井守「うるせいやつら ビューティフルドリーマー」における
永遠に続く前夜祭を「本当に永遠に続けてしまった漫画家」だ。
まあ初期短編集にもろに「前夜祭」ってタイトルのマンガがあるんですが、
この「前夜祭」にしろ「クレセントノイズ」にしろ、
天野こずえは文化祭に入っていけない、
クラスの輪に入っていけない女の子に焦点をあてているんだけれども、
そういう視点ももちろんあってもいいとは思うが、それだけではやはり弱い。
なぜなら天野こずえのマンガに出てくる女の子はクラスの輪にはいっていけないだけで、
学校には通えるからだ。
そして我々の腹黒い現実には学校にすら通えない人も、
家庭に問題を抱える人も、色々あって気が狂ってしまった人も、
規格外のものがいっぱいあるわけだ。
話が逸れるが、かつての産業構造社会の頃、学校の規則を破る規格外の人達、
スケバンやリーゼントの人達に対して、さらに規則でしばり体罰を与えた。
その結果感情が外ではなく内に向うようになり、
いまのくらーいくらーい自殺者まででる学校のいじめの時代がはじまったのだという。
規則でがんじがらめというのは、
人生と世界の未来に先がある産業構造社会の学校では使える手だが
(実際私の出身高校もそうだったようにおもう。厳しい規則でモラルを維持し、
勉強についていけない規格外の人達は、授業中寝てるか、最終的には学校をやめるかだった)
いまの未来って先が無いよな。人生にも世界にも。
そもそも化石燃料に依存し、消費を続けてきた結果、生まれた温暖化だしな…。
下手したらほんと破滅だよな。ディストピアだよな。


天野こずえといえば、いまはアクア・アリアが有名
(というかアクア・アリアで有名になったのだ)
私はアクアがアリアになったころから見てないので、
いまどうなってるのかは詳しくはしらないのだが
「人工自然の中で繰り返される、女の子達の永遠の予定調和の世界」のはなし
だった気がするので、私個人の好みとしてはダークな展開(破滅がやってくれば)面白いと思うが
作家さんの性格を考えて、それはないと思う。あるとしても、非常にゆっくりとしたものになるのではないか。


天野こずえ氏は、女性漫画家にしては、画力とイメージ力が豊かな方なので
ばりばりの少年漫画を描いて欲しいと思いつつ、気付けば幾星霜…。
私がこの作家さんが描くマンガに対してかつて思っていたことは
「暗い現実」を認めつつ受け入れつつ、それでも自分自身が暗いものには負けず、
自分自身と周りの破滅を願うタナトスではなく、
生きる力・生かす力を選んで欲しい
(それにしてもタナトスというと「春の雪」におけるキヨ様を思い出してしまうんだが。
自ら破滅の原因を、川の流れを分かれさせる原因を作ってしまうキヨ様!)
ということだったと思う。
ただアクア・アリアでは(最近は読んでないんだが)おっと暗いものから目を逸らしたぞ、と思った。


今回の記事はがんがんというか天野こずえの思い出になってしまった…。