「シルフェイド幻想譚」


フリーゲームのRPG。SmokingWOLF氏によって製作され、
2005/04/08 ver1.00が webサイトSilverSecond(シルバーセカンド)で一般公開された。

「製作者であるSmokingWOLFさんのサイトSilverSecond↓」

http://www.silversecond.net/main/



同作者のシリーズでは「シルフェイド見聞緑」などが有名。
戦闘システムのバランスが素晴らしい。
シナリオが地味だと多くのレビューで言われている本作ですが、
私個人としては、なかなか良かったと思う。



「良い点」

①オープニングのプレイヤーの導入が上手い

・主人公は神に近い存在リクレールが15日後に起こるという
世界の危機を防ぐ為に作った生命(肉体)であり、
その魂はプレイヤーの意識を、意識の海=こちら側(現実の世界)から引き上げたモノである。

RPGにおける主人公はなぜ世界を探索し、
王様の頼みを聞き、なぜ村人の為におつかいしなければならないか、
何故レベルをあげてラスボスと戦わなければいけないのだろうか?
これはRPGが映画に近くなった最近では、ピンと来ない疑問かもしれないが、
初期のRPG、特にゲームの中でいっさい喋らず、
かつ事件に巻き込まれるタイプの主人公である場合、
疑問に思うプレイヤーは多かったと思う。

この疑問が単なるみんな困ってるから、等の道徳問答ではなく、
主人公は「神が世界の問題を解決する為に創った
15日間だけ生きる生き物・肉体(意識はプレイヤー)」
であるという設定で解決されてしまっている。
主人公は神の使いであり、この世界における探索者・戦士そのものなのだ。
また、マップの移動、行動、会話の選択なども非常に自由度が高い。



②主人公の強さの理由付けが上手い。

多くのRPGにおける主人公達は単純な戦闘を繰り返すだけで、
いわゆるゲームにおけるレベルがあがって、ゲーム的な超人的強さを発揮する。
しかし本作の主人公の戦闘能力は、世界の問題解決の為に神によって与えられたものである。
また、主人公はこの世界におけるトーテム能力者であり、
この世界におけるトーテム能力者は限られており、一般人とは能力が異なる…
こういった設定によって上手く解決されている。



③またドラクエ的な生活感があることも評価できると思う。

世界一周旅行をしている冒険者の焚き火の位置が一日ごとに変わったり…。
時間の経過、世界崩壊までの15日という期限も上手く生かしていている。
特定の日におきるイベント、予言者の存在などもよかった。



「個人的な意見」


生活感、村や、登場人物、周辺の設定、会話は良く出来てると思うので、
ラスボスの動機が弱かったのが残念。人間に対する、不条理な憎しみとは?
別々の神を信じる種族対立(民族対立に近い)をシナリオの根幹に据え、
どちらか片方の種族を抹殺するのではなく、
力のみに頼らず対話によって二つの種族が共存することをグットエンドとするなら、
この辺の設定をもう少し突き詰めて欲しかったように思う。

あとオープニングのプレイヤーの導入がかなり良く出来ていただけに、
シナリオにゲームとプレイヤーの関係性を絡めればよかった。
(※本で例を挙げるとミヒャエル・エンデの「はてしない物語」でしょうか)
ゲーム中の人物からの、ゲームの外側にいる、プレイヤーへの呼びかけがあれば最高だった。
知らず知らずのうちにゲームのシナリオの中にプレイヤーが組み込まれるのだ。